SaaS note

B2B SaaS企業の代表ブログ。SaaSに関する話題や日々のあれこれ。

会社の余命は?創業初期に最低限知っておきたいこと

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今回は、創業初期に最低限抑えておきたいお金周りの話題を取り上げます。

会社の余命は?

例えば、月々の収益(Revenue)が100万円で、費用(Cost)が150万円であれば、毎月50万円が会社の銀行口座からなくなっていくことはわかるでしょう。もし、会社の銀行口座に500万円しかなければ、この会社の余命はあと10ヶ月ということになります。

どれだけお金を使ったかという指標には、“Burn Rate(バーンレート)”というものがあります。その中でも、“Gross Burn Rate(グロスバーンレート)”というのが、月々の総コストを意味します。そして、“Net Burn Rate(ネットバーンレート)”というのが、月々の総コストから収益を引いた値を表します。
上記の例で言えば、グロスバーンレートは150万円となり、ネットバーンレートが50万円となります。

ネットバーンレートがマイナスになることがあれば、それは黒字化しているということです。赤字を垂れ流しながらでも急成長を目指したい場合を除いて、大抵の企業は少しでも早く月々の収益が費用を上回る状態を目指す必要があります。成功を手に入れるためには、まず死なないことが大切です。

最低限でも資金計画を立てておけば、将来の不確実性に備えたり、安心して決断を下せるようになります。創業初期は収益を上げることで精一杯かもしれませんが、資金計画を立てることを後回しにしてしまってはいけません。なぜなら、現金を使い果たし、新しい資金を獲得することができなければ、倒産してしまうからです。

資金計画を立てる上で忘れてはいけないこと

資金計画を立てる上では、以下の点を忘れないようにしましょう。

1. 入金タイミングを正確に把握する

例えば、B2B SaaS を提供する場合、クレジットカードを決済方法に指定することも多いでしょう。この場合、入金サイクルが月末締めの翌月末払いになることが一般的だと思います。つまり、自分の会社口座にお金が振り込まれるのは翌月末になるということです。入金のタイミングを勘違いしてしまうことのないように注意しましょう。

2. コストの増大を勘案しておく

サービスが成長すると、その分サーバー費用が増えることもあれば、社内で使っているサポートツールのライセンス費用がかさむこともあります。人件費などに比べれば微々たるものかもしれませんが、あらかじめ資金計画に勘案できるので、しっかりと抑えておく必要があるでしょう。

3. 余裕を持つ

ゆとりのある資金計画を立てることが大切です。財務経験がなく、CFOもいない場合、勘案しておくべき費用を勘案し忘れてしまうこともあります。創業初期は不確実性も高いため、楽観的すぎる計画は禁物です。資金計画を立てる際は、慎重さが大切になるでしょう。

おわりに

今回は、バーンレートなどの言葉について触れ、資金計画を立てる上で抑えておきたい3つの点について触れました。 経営を安定させるためにも、収益と費用のバランスに注意を払い、バーンレートを極力上げないことが大切でしょう。私も自宅兼オフィスとすることで、極力お金がかからないようにしていました。お金を使う際も、選択と集中が大切です。

SaaS の課金モデルについて考える。

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今回は、B2B SaaS の課金モデルについて整理していきたいと思います。

SaaS の課金モデル

B2B SaaS の課金モデルには、大きく2つの種類があると思っています。
それは、“利用ユーザーベースの課金モデル”と、“使用量ベースの課金モデル”です。

では、以下でそれぞれの特徴について整理していきたいと思います。

・利用ユーザーベースの課金モデル

この課金モデルは、SaaS製品を使う人数によって請求金額が変わるモデルです。
例えば、Zendesk や Freshdesk のようなカスタマーサポートサービスは、利用ユーザーベースの課金モデルを採用しています。1ユーザーあたり月額いくらという課金モデルです。私の会社で提供している CallConnect もこの課金モデルを採用しています。

これらのカスタマーサポートサービスを例に考えてみると、利用人数が1人の時よりも2人の時の方が多くのサポート業務をこなせることは明白です。1人では一日30件のチケット対応しかできなかったのが、2人になれば単純に考えてもその倍のチケットに対応できるようになります。
つまり、利用人数が増えるタイミングで顧客がその製品から得る価値も増えるわけです。そのため、人数が増えるタイミングで課金することは理にかなっており、顧客の納得度も高いでしょう。

・使用量ベースの課金モデル

この課金モデルは、トランザクション性の高いSaaS製品でよく採用されているモデルです。
例えば、CallConnect でも利用している TwilioというコミュニケーションAPIサービスや Stripe というオンライン決済サービスは、使用量ベースの課金モデルを採用しています。通話1件あたりいくらとか、決済1回あたりいくらという課金モデルです。

  • Twilio
    Twilioは、音声(電話)やビデオ、メッセージングを制御できるAPIサービスです。課金モデルも、SMS送信1件あたり〜円とか、通話1件あたり〜円という使用量ベースになっています。

  • Stripe
    Stripe は、Webサイトなどに簡単なコードを組み込むことでクレジットカードなどによる決済サービスを追加可能な仕組みを提供しています。課金モデルは、決済1回あたり〜円の手数料という使用量ベースになっています。

このモデルは、顧客にとって価値のあるトランザクションが発生したタイミングで課金するモデルのため、顧客も理解しやすく、受け入れやすいと言えるでしょう。

課金モデルはどうやって決めればいい?

課金モデルを決める際は、「顧客が製品の価値を享受するタイミングはいつか?」ということを考慮する必要があるでしょう。 これから何かしらの SaaS を提供する際は、自社サービスの特徴を整理し、理にかなった課金モデルにすることが重要です。でなければ、ビジネスとしての収益性を高められない可能性が高まってしまいます。 利用ユーザーベースと使用量ベースの課金モデルがあることを知り、適切な課金モデルを採用しましょう。 ちなみに、CallConnect では、この2つの課金モデルを採用しています。

また、顧客企業を成長させることによって、自社の収益性も向上するような課金モデルにすることも大切だと思います。
例えば、Stripe のようなオンライン決済サービスであれば、トランザクションが発生しない限り、Stripe は儲かりません。つまり、Stripe としては何が何でも利用企業にビジネスを成長させてもらい、決済回数を増やしてもらう必要があります。このような顧客の成功と連動した収益構造になっていれば、自ずと顧客サポートにも注力するようになるでしょう。

おわりに

今回は、B2B SaaS における主要な課金モデルについてご紹介しました。

  • 顧客の成長によって自社の収益性が向上するような課金モデルが理想的であること。
  • 顧客が製品の価値を享受するタイミングで課金する、納得度の高い課金モデルであること。

B2B SaaS をこれから始める方は、この2点を意識してみるといいのではないでしょうか。

SaaS企業なら知っておきたい LTV のあれこれ

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今回は、LTV の概要と LTV を把握する重要性について書きました。

LTV とは?

LTV とは、Life Time Value の略で、「1人の顧客から生涯を通じてどれだけの収益を得ることができるか」を表す指標です。当然解約率が高ければ、生涯を通じて顧客が企業に支払う金額は少なくなってしまいます。私の会社でも、LTV を算出して、「LTVを最大化するために何ができるか?」ということを日々考え、試行錯誤している状況です。

LTVの算出方法

まず、LTVの計算式で使用する言葉についてご紹介します。

・ARPA(Average Revenue Per Account)

ARPA は、顧客1人あたりの平均収益を意味します。SaaSの場合、Average MRR Per Account と覚えておくといいでしょう。1人の顧客から月に平均いくらの収益が得られているかという指標です。注意点としては、月次収益(MRR)には単発の導入コンサルティングなどで得た収益は含めないということです。顧客が製品を利用する際に支払う月額利用料によって得られた収益だけで考えます。“MRRの合計金額” を“顧客数” で割ることで、“ARPA” を算出可能です。

・Gross Margin

Gross Margin は、売上総利益率(%)を意味します。“収益(Revenue)”から “売上原価” を引くことで、まず “売上総利益(Gross Profit)” を算出することができます。Gross Marginは、売上総利益率(%)を表すため、計算式はこのようになります。

<計算式> Gross Margin(%) = {収益(Revenue) - 売上原価 } ÷ 収益(Revenue)

例えば、収益が1,000万円で、売上原価が200万円だったとしましょう。この場合、売上総利益は800万円となります。そして、売上総利益率(%)は、80%となります。

また、売上原価には下記のような費用が含まれます。

  • サーバー費用
  • アカウント管理コスト
  • 材料費
  • 直接労務費 など

・Churn Rate

Churn Rateは、解約率・離脱率を意味します。Churn Rateについては、こちらの記事をご参照ください。

計算式

LTV = {ARPA × Gross Margin} ÷ Customer Churn Rate

【例】
ARPAが5,000円で、Gross Marginが80%、Customer Churn Rateが5%のSaaSを運営しているとします。 すると、LTVは80,000円だということがわかります。

{5,000円 × 80%} ÷ 5% = LTV 80,000円

LTVを知ると何に役立つの?

LTV を把握する意義は、大きく下記の2つではないでしょうか。

1. 新規顧客の獲得にかけられるコストの決定

基本的には、LTV 以下の金額をかけて新規顧客を獲得する必要があるでしょう。1人の顧客が生涯を通じて私たちにもたらしてくれる収益がわかるため、それ以上のコストを新規顧客の獲得に使ってしまえば、当然マイナスになってしまいます。

2. 顧客価値への正しい認識を得る

例えば、複数の契約プランがある SaaS を運営している場合、ARPA や Churn Rate といった指標がそれぞれのプランごとに異なるはずです。LTV をそれぞれで算出することによって、顧客価値に関する正しい現状認識を得ることができます。これによって、自社ビジネスの健全性について理解を深めることができるでしょうし、LTV を最大化するためのアクションを考えることもできるでしょう。

おわりに

今回はSaaS企業にとって非常に重要な指標「LTV(Life Time Value)」について触れました。私も試行錯誤の真っ最中ではありますが、まずは自社サービスの LTV を算出し、可視化することが重要だと思います。現状に対する正しい認識を持つことができれば、具体的な改善施策を考えていくこともできるはずです。

Churn Rate(チャーンレート)を下げるために大切にしたい3つのこと

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今回は、SaaS企業の“敵”とも言える、Churn(チャーン)について取り上げます。

Churn Rate(チャーンレート)とは?

チャーンレートとは、「解約率、離脱率」を意味します。

また、チャーンレートには大きく2種類あります。
ひとつが、“Customer Churn Rate(カスタマーチャーンレート)”と呼ばれる「顧客数のチャーンレート」です。
例えば、前月時点で顧客が100人いて、今月10人の顧客を失ったとしましょう。この場合、今月のカスタマーチャーンレートは、10%です。

Customer Churn Rate = 今月失った顧客数 ÷ 前月の顧客数

もうひとつが、“Revenue Churn Rate(レベニューチャーンレート)”と呼ばれる「収益のチャーンレート」です。 例えば、毎月80万円を支払う顧客Aと、毎月20万円を支払う顧客Bの2社しかいないとしましょう。そして、今月顧客Bが解約したとします。すると、レベニューチャーンレートは20%です。

Revenue Churn Rate = ある月に失った月次売上 ÷ その月最初の月次売上

Churn Rateを下げる重要性とは?

チャーンレートが高いということは、その分顧客を失い、収益を失うということです。反対に、チャーンレートが低ければ、多くの顧客が継続的にサービスを利用してくれるということで、収益も安定します。

つまり、SaaSビジネスでの成功を考える上では、チャーンレートを下げるための対策が欠かせないのです。実際に私自身も毎月のチャーンレートをKPIとし、注意深く観察しています。

どんなに新規顧客獲得に力を入れたとしても、毎月のチャーンレートが高ければ、穴の空いたバケツには水が溜まらないように、健全なSaaSビジネスの運営はできません。

では、チャーンレートを下げるためにはどういったことに気をつける必要があるのでしょうか?

Churn Rateを下げるために大切にしたいこと

1. 製品の利用方法を迅速に理解させる。

まず、導入時の体験が重要です。製品の複雑さゆえに利用頻度が低くなったり、利用を諦めてしまうことがないように、利用方法の理解を促しましょう。わかりやすい製品チュートリアルの実装やアクティブな導入サポートが必要です。もちろん、製品自体をシンプルにするということが前提にはなります。

2. 正しい顧客を狙う。

そもそもターゲットではない顧客に製品を販売しても、お互いにメリットはありません。必ず製品の価値を享受しやすいターゲットが存在するはずです。ターゲットではない顧客を無理矢理に集めて、導入を推し進めても、いつか限界がきて、解約してしまうでしょう。

3. 解約した際に顧客の声を集める。

どんなに対策を講じても、解約を0にするということは非常に困難です。少なからず解約する企業は出てくるものです。それはそれとして受け入れるしかありませんが、次なる解約を防ぐために「解約した理由」を聞くように取り組んでみてはいかがでしょうか。例えば、解約時のフォームに解約理由を入力してもらうテキストエリアや選択項目を作るのです。しつこくなり過ぎないように工夫は必要ですが、解約理由を集められれば具体的な製品やサービスの改善にも活かせます。

おわりに

今回は、チャーンレートについて触れ、チャーンレートを下げるために大切にしたいことを書きました。そもそも短期的な利用を想定していた企業が満足して解約する場合は大きな問題ではありません。しかし、利用方法が複雑であったり、マーケティングメッセージと製品にギャップがあったために、不満を抱えて解約していく場合は早急な改善が必要でしょう。

今後も、SaaSビジネスを運営していく上で大切にしたいことや考えたことを本ブログを通じて発信していきます。

SaaSとは?SaaSの特徴を知る。

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今日は、SaaSという言葉の意味やサブスクリプションモデルについて簡単に触れたいと思います。

SaaSとは?

SaaSとは、Software as a Serviceの略称。サース。
インターネット経由で必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェアや提供形態のことを指します。 私たちの会社が提供するブラウザ電話システム「CallConnect」も、電話機能を必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェアと言えます。

国内のB2B向けSaaSには以下のようなサービスがあります。

会計ソフト freee (フリー) | 無料から使えるクラウド会計ソフト

SmartHR -【シェアNo.1】無料から使えるクラウド労務ソフト

【シェアNo.1】お店の予約を、まるごとタブレット1台で。 | トレタ

では、B2B向けSaaSにはどのような特徴があり、利点があるのでしょうか。

B2B向けSaaSの特徴と利点

1. 定期課金モデル(サブスクリプション:subscription)

B2B向けSaaSの多くが月額課金制を取っています。上記で紹介したようなB2B向けSaaSも、月額課金制です。つまり、顧客がサービスの利用を解約しない限り、毎月定期的に収益が上がることになります。初期の顧客獲得に苦労したとしても、長期的に見れば非常に安定した収益構造を作ることが可能です。

2. 拡張性(スケーラビリティ:scalability)

ユーザーは一つのプラットフォーム(サービス)を利用することになるため、ユーザーが増加しても、企業側に都度大きな開発コストや手間がかかる訳ではありません。また、SaaS企業は自社が提供する一つのプラットフォーム(サービス)を改善すればいいため、開発スピードも早まるでしょう。都度カスタマイズして納品する形態では、開発コストがかさむため、拡張性に優れているとは言い難いです。

3. 測定可能(メジャラブル:measurable)

顧客がサービスをどのように利用しているかを測定することも容易なのが、SaaSの特徴です。これは、サービスの継続的かつ迅速な改善に大いに役立ちます。結果として、顧客の満足度を高めることに繋がり、解約を防ぐことにもつながるでしょう。また、SaaSは毎月の売り上げ見込みも立てやすく、事業戦略を考えるのに役立ちます。

顧客と長期的な関係を築くことにフォーカスする

SaaSビジネスを成長させるためには、まずは「いかに顧客に長く使ってもらうか」という視点で物事を考える必要があるでしょう。定期課金のモデルということもあって、サービスの利用が始まってからが本当の勝負です。もちろん、契約に至るまでも重要ですが、それよりもSaaSビジネスにおいては“利用継続率”こそが重要なのです。いくらコストをかけて新規顧客を獲得しても、すぐに解約されてしまっては元も子もありません。

実際に私も目の前の顧客を幸せにすることが何より重要だと考え、それに集中するようにしています。なぜなら、目の前の顧客を幸せにできなければ、当然何千、何万という顧客を幸せにすることもできないからです。

これからも日々試行錯誤しながら取り組み、その過程で考えたことや学んだことを定期的に発信していきたいと思います。

SaaS note へようこそ!

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SaaS note」という個人ブログをを立ち上げました。今回は、ブログ立ち上げの経緯やこれから書いていく話題について簡単にご紹介します。

SaaS noteとは?

現在、B2B SaaS企業で代表を務めている筆者が普段の仕事の中で学んだことや考えたことを中心に発信するブログです。

取り扱うテーマ

  • B2B向けSaaSビジネスを行う上で知っておきたい知識
  • B2B向けSaaSビジネスを成功させる為に実践していること
  • 会社経営をする日々の中で感じたことや考えたこと

筆者自身がB2B向けSaaSビジネスを成長させていく過程で学んだことや実際に行なったことを発信していきます。時々、筆者の日々のあれこれについても発信していく予定ですので、お気軽に立ち寄っていただければと思います。

立ち上げのきっかけ

B2B向けSaaSビジネスを行う中で、国内におけるSaaS関連のノウハウが不足していると感じたことがきっかけです。現状、SaaSビジネスを成長させる上で大切にすべき考え方や指標管理の具体的な方法などはあまり出回っていないように感じます。 そこで、実際にSaaSビジネスを行う私自身が発信者となることで、SaaSビジネスに対する理解が進めばいいと思い、ブログを立ち上げることにしました。

「これからSaaSビジネスの立ち上げを考えている人」や「現在SaaSビジネスを行っている人」の何かしらの参考になれば、嬉しいです。

筆者について

このブログは、"愛される企業を増やす"を企業理念に活動する合同会社selfreeの小俣隼人が運営しています。 セルフリーは、電話サポート業務の効率化に役立つブラウザ電話システム「CallConnect」を開発・提供しています。

CallConnect www.callconnect.jp

定期的にブログを更新していきますので、どうぞよろしくお願いします。